Lê Mai の石けんを手に取ると、本当に平らな面はひとつもない。どの面にもそれぞれの跡がある。この文章は、その跡がどこから来るのかを記録する。
横から見ると
石けんをテーブルに置き、かがんで横から見る。上の縁はまっすぐではない。かすかな凹凸が長さに沿って、1cmほどの間隔で繰り返している。
流し込みのとき、表面にスパチュラを通した跡だ。コールドプロセスの生地がまだトレースの状態のうちに表面に軽く模様をつけ、そのまま固める。型から出したあとも、この模様は流し込んだ日のサインとして残る。
残る型の跡
石けんの両側面には木目がある。型のオークや松の板が写ったものだ。鹸化の24時間のあいだに木目が石けんに移り、型出しのあとも痕跡として残る。
型は長く使うほど、木目がくっきりしてくる。Lê Mai には8〜10年使っている型があり、石けんに写った木目は紙のように読めるほどだ。
クッキングシートに触れた縁には、かすかな白い線が残る。紙が折れたところでは、少し軸がずれていることもある。同じに見える石けんは二つとない。
ナイフと切り口
石けんは48時間後、大きなブロックから切り出す。ワイヤーナイフか、まっすぐな刃で。上から下へ切る。
切るときのブロックはまだ柔らかく、刃がわずかに石けんを引きずる。そのため切り口は完全になめらかではなく、細かなナイフの筋が残る。ちらりと見ただけでは、ほとんど気づかない。
工場のラインでは、石けんはアルミの型でプレスされて押し出され、切られることはない。どの面も完全に平らで、跡がない。その違いは、手に持った瞬間にわかる。
不揃い · 失敗ではない
跡には失敗もあれば、サインもある。その見分けが、バッチを検品するときの Lê Mai の仕事だ。
失敗の跡:深い割れ(ジェルが熱くなりすぎた)、大きな気泡(流し込みが速すぎた)、白っぽいむら(混ぜ方が不均一)。そうした石けんは外す。
サインの跡:木目、スパチュラの模様、紙の線、ナイフの筋。そうした石けんは通す。
両者の境目は絶対ではない。同じ跡でも、ある程度ならサイン、それを越えれば失敗になる。それも技のうちだ。
手に持ったとき
手の中の Lê Mai の石けんは、短い文章のように読める。ある面はどの型かを、別の面はナイフがどう入ったかを、ひとつの角は紙がどう折れたかを語る。
これらの跡に正式な言葉はない。あるのは、指でなぞったときの感触だけ。なめらかなところ。わずかなざらつき。深さの違う跡。
手は知っている。目には少し時間がいる。心はさらに時間をかけて、不揃いもまた美しさのひとつだと受け入れる。
型の跡。スパチュラの跡。ナイフの筋。紙の線。
偶然ではない。あるバッチの、ある日の、ある手のしるし。