フランカーとは、既存の香水の新しい版で、元の名前を残してIntense、Elixir、Eau Fraîche、あるいは季節の名などの語を添えたものだ。処方は元の香りに近いこともあれば、遠いこともある。添えられた語に共通の定義はない。
一つの名前、たくさんの語尾
香水の棚では、一つの名前が五度も六度も現れることがある。最初の版はひとりで立っている。後の版にはもう一語が付く。Intense、Elixir、Eau Fraîche、Absolu、Sport、Night、あるいは季節や年。名前は一つに聞こえても、どの瓶も別々の香りである。
香水業界では、こうした後の版をフランカーと呼ぶ。短い定義はこうだ。フランカーとは既存の香水の変奏で、元の名前に語を添えて残したもの。処方は元の香りに近いこともあれば、共有しているのが名前だけというほど違うこともある。
だからフランカーとは何かという問いには、もう一つの問いがついてくる。元の香りにどれほど近いのか。一般的な答えはない。添えられた語は技術用語ではなく、どんな規則にも縛られず、各メゾンがそれぞれのやり方で使う。
この記事は、香りの構造を通してフランカーを読む。どの部分がふつう残され、どの部分がふつう変えられるのか。そして新しい版が、元の香りを読み直す助けにどうなるのか。
フランカーとは何か
香水には三つの層のアイデンティティがある。一つ目は処方、つまり素材とその比率のリスト。二つ目は香りの構造で、まとう人はそれを一つの形として知覚する。三つ目は名前、瓶、そしてそれを取り巻くイメージ。フランカーは三つ目の層を残し、二つ目の層をさまざまな程度で残す。
命名の慣習では、フランカーは濃さの変更とは区別されるが、その線はあいまいだ。記事一つの香り、四つの濃さが記すように、同じ名前のEDTとParfumがすでに二つの別々の処方であることもある。新しい版がIntenseのような語を添えると、売り手はふつうそれをフランカーと呼ぶ。EDPがEDTになるだけなら、ふつうそうは呼ばない。
フランカーは処方変更とも異なる。古い香水は、素材に関する新しい規則のために、語を添えず名前もそのままに処方を変えられることがある。オークモスがおなじみの例だ。EUが化粧品におけるアトラノールとクロロアトラノールを禁止して以来、オークモスを使う多くの処方が調整を迫られた。それは元の香りの改訂であって、フランカーを作ることではない。
何年も途絶えたあと、名前が新しい処方で再発売されることもある。フゼア系統の始まりの瓶であるHoubigantのFougère Royaleは、2010年に新しい処方で再発売された。一つの名前、二つの時代、二つの処方。
アコードを残し、一つの層を変える
香水の中心には、ふつう一つのアコードがある。いくつかの素材を組み合わせ、鼻がそれを一つの新しい匂いとして読むようにしたものだ。このアコードこそ、元の香りを知る人が見分ける形である。元の香りとのつながりを保ちたいフランカーは、ふつうそのアコードを、あるいはそれに近い版を残す。
最もよく変えられるのはトップだ。トップは最初の数分で去るので、シトラスを果実に替えたり、スパイスやグリーンのノートを加えたりすれば、主な形を壊さずに新しい版の立ち上がりを変えられる。ピラミッドの上でいえば、いちばん上の区画を入れ替え、下の二つを残すことにあたる。
もう一つのやり方は、中心となる素材のファセットをずらすことだ。ローズにはレモンのような、蜂蜜のような、スパイシーな、ワインのようなファセットがある。フランカーは、少量加えたモディファイアを使って、蜂蜜を前に出しレモンを隠すかもしれない。香りはまだローズだが、別の方向へ傾いている。
三つ目のやり方は、濃さとベースを一緒に変え、新しい版をより密に、温かく、長く持つものにすることだ。強さを思わせる語尾がふつう向かう方向である。どのやり方も同じ問いから始まる。元の香りのどの部分は取り除けないのか。
濃さを上げることは、香りを大きくする以上のことをする。アルコール中の濃縮液の割合が変わると、ベースには残るための量が増える一方、匂いの閾値の低い分子は同じ比率では強くならない。層のあいだの均衡が動く。だから強い版には、ふつう濃縮液を増やすだけでなく、均衡の取り直しが必要になる。
Intense、Elixir、Eau Fraîche
フランカーの語尾は、書かれていない文法に従う。業界ですでに何かを意味している語を借り、それをもっとゆるやかに使うのだ。どれにも法的な定義はなく、その意味は元の香りの隣でしか明らかにならない。
Intenseはふつう、より強い版を示す。濃度が高い、ベースが密である、あるいはその両方。Elixirはふつう同じ方向へさらに進み、より重い樹脂、バニラ、木を使う。AbsoluやExtraitもこの意味で使われる。だが、あるメゾンのIntenseが別のメゾンの元の香りより軽いこともある。この言葉は一つの香水のラインの中でしか意味を持たない。
Eau Fraîcheは逆の方向へ行く。おなじみの濃度の言葉では、Eau Fraîcheはふつう濃縮液3%以下で、Eau de Cologneよりさらに軽い。フランカーの語尾としては、ふつうシトラスとグリーンを増やした、元の香りより軽く明るい版を示す。
季節や年や場所を名乗る語尾は、構造については何も語らない。限定品に付けられることが多く、一時期しか売られないこともある。こうした瓶の香りを知るには、嗅ぐしかない。
業界がフランカーを作る理由
香水の名前は、年月をかけて記憶を集める。ある香りを知る人は、瓶と名前を見分け、ある形を期待する。フランカーは、名前をゼロから始める代わりに、その記憶を新しい香りのために使い直す。
これは商業上の理由であり、成功した香水のラインにしばしば多くのフランカーがある理由を説明する。だがフランカーには調香そのものの内側の理由もある。よいアコードは多くの変奏を担える。暑い気候のための一つ、夜のための一つ、木へ傾いた一つ。フランカーは、そうした変奏を一つの共有された名前のもとで試すやり方なのだ。
香りの分類の歴史には、逆向きの例がある。1917年のCotyのChypreは一本の瓶の名前だった。のちにほかのメゾンがベルガモット、オークモス、ラブダナムという同じ骨組みで香りを作り、その名前は一つの系統の名前になった。1882年のHoubigantのFougère Royaleも同様だ。香りの分類の歴史が記すように、ここでは名前が一つのメゾンを離れ、一つの構造の名前になった。
フランカーはその物語の裏返しである。名前は一つのメゾンの中にとどまり、構造が変わる。一方では一つの構造が瓶の名前を担い、もう一方では瓶の名前が多くの構造を担う。
新しい版を通して元の香りを読む
フランカーを元の香りと並べて二枚のムエットで嗅ぐことは、香りを読む効果的な練習になる。一時間後も同じままのものは、ふつう中心のアコード、調香師が欠かせないと考える部分だ。違うものは、調香師が香りを押し出そうとした方向を示している。
比較は時間のなかでいちばんよく働く。トップがはっきりしている数分後に両方の紙を嗅ぎ、ハートが現れる一、二時間後に嗅ぎ、ベースだけが残る半日後に嗅ぐ。二つの香りが最初の一分では大きく違い、四時間目にはほとんど重なることもあれば、その逆もある。
次の段階は、両方を香りの系統の中に置くことだ。フランカーは元の香りと系統を同じくしながら、別のサブファミリーに属することがある。どちらもフローラルで、一方はフローラルフルーティ、もう一方はフローラルウッディ。元の系統をすっかり離れるフランカーもある。系統とサブファミリーの読み方は、記事香りの系統で掘り下げている。
こうした比較を一度すると、元の香りがしばしばよりよく理解できる。フランカーが捨てたものは、元の香りのどの部分が飾りだったかを示し、残したものは、どの部分が背骨なのかを示す。
二つの箱に印刷されたピラミッドを並べることもできる。ただし一つ注意がいる。印刷されたノートが記すのは印象であって、処方ではない。二つのピラミッドのあいだで変わる言葉は、調香師がほのめかしたい方向を示し、変わらない言葉はふつう中心のアコードを指している。紙に書かれたことを確かめる場所は、あくまでムエットである。
一つの名前が、多くの香りを担いうる。
一つの構造が、瓶の名前を担いうる。
そのあいだに、変わらないアコードがある。