プロセス · 2026年9月

上から読む成分表示

An Ingredient List Read from the Top

プロセス

オリーブ石けんは一個約110グラム。その包み紙には、Ingredients という語で始まる小さな活字の短い段落がある。その段落には独自の文法がある。順序、閾値、ラテン名、Parfum という語、終わりに並ぶいくつかの化学名。本稿では INCI 成分表示を、一文を読むように上から下へ読む。

ひとつの石けんの表示、十行の活字

Lê Mai のオリーブ石けんはコールドプロセスの石けんで、処方の70%以上をオリーブオイルが占め、ニームシードオイル、シアバター、カカオバター、精油のブレンドが加わる。成分は全部で12。言葉で書けば、それは説明になる。INCI で書けば、規則をもつリストになる。

成分表示のうえでは、オリーブオイルはオリーブオイルとは呼ばれない。Olea Europaea Fruit Oil、つまり属、種、植物の部位、素材の形である。シアバターは Butyrospermum Parkii Butter。カカオバターは Theobroma Cacao Seed Butter。どの名前も正確な住所で、ひとつの植物とそのひとつの部位を指している。

この書き方は無味乾燥に見えるが、現実の問題を解いている。ひとつの油が何十もの商品名や地方名をもつことがあり、オリーブというひとつの語でさえ、多くの言語で多くの訳し方がある。INCI で書かれたリストは、ハノイでも、パリでも、東京でも、翻訳なしに同じように読める。

INCI:どの国でもひとつの名前

INCI は International Nomenclature of Cosmetic Ingredients(化粧品成分の国際命名法)の略である。この命名体系の規則は1973年、アメリカの化粧品業界団体、現在の Personal Care Products Council によって定められた。それ以来、素材ごとにひとつの名前が与えられ、多くの地域の規制当局がこの体系を使っている。

欧州連合は、共通名称の原則を法律に書き込んだ。規則1223/2009は、成分表示に、INCI にもとづく欧州委員会の用語集の共通成分名を使うよう求めている。ライブラリの用語集によれば、精油は植物のラテン名に部位と形を添えて記される。たとえばラベンダー精油なら Lavandula Angustifolia Oil だ。

INCI の文法には、わかりやすい約束事がいくつかある。植物名はリンネ式のラテン語の形を保つ。水は Aqua と書く。香料のブレンドは Parfum と書く。化学物質は Glycerin や Sodium Hydroxide のように英語の化学名を保つ。この少しの約束事に慣れれば、化粧品の表示の大半は読めるようになる。

量の順と、1%の線

成分表示は、でたらめな一覧ではない。規則1223/2009の第19条により、成分は処方に加えた時点の重量の多い順に並べられる。いちばん多いものが先頭に来る。油分の70%以上をオリーブオイルが占めるオリーブ石けんなら、オリーブオイルの名前、あるいはその石けん塩の名前が、リストの先頭に来るべきだ。

二つめの規則が、リストの終わりの読み方を変える。1%未満の成分は、1%を超える成分のあとに、任意の順序で並べてよい。だから成分表示の後半は、しばしば順位のない区域になる。抽出物が防腐剤の前に置かれていても、その量が多いことを意味しない。

石けんには独自の細部が加わる。石けんは油が水酸化ナトリウムと反応してできるので、表示は二つの書き方のどちらかになる。出発点の油を Sodium Hydroxide とともに並べるか、Sodium Olivate のように生じた塩の名前を書くか。Glycerin が現れるのは、鹸化そのものによって生じるからだ。どちらの書き方も同じ石けんを、その生涯の二つの異なる時点で記述している。

法律は、何が成分でないかも定めている。原料中の不純物と、加工中に使われるが最終製品には残らない技術的な補助剤だ。成分表示が記録するのは意図して入れたものであって、完成品の化学分析ではない。

ラテン語で書かれる精油

精油の場合、ラテン名は一般名より多くの情報を運ぶ。Melaleuca Alternifolia Leaf Oil は、これがティーツリーで、種は alternifolia、葉からとったものだと語る。Citrus Grandis Peel Oil は、その油がザボン(ポメロ)の果皮から来たことを語る。Leaf、Peel、Seed、Wood、Root のような語はアイデンティティの一部だ。ひとつの植物でも、部位によってまったく違う精油を生むからである。

だが INCI には限界がある。ラテン名は、その精油がコールドプレスか蒸留かを語らない。柑橘では、それが光毒性をもちうる油かどうかを分ける決定的な違いであるにもかかわらず。ケモタイプ、つまりある植物集団の化学的な特徴も示さない。産地もロットも示さない。その情報は表示ではなく、ライブラリの各精油のページにある。

キャリアオイルも同じ論理に従う。ライブラリの植物油のページにはキャリアオイルとバターが並び、その大半が同じ型の INCI 名をもつ。属、種、部位、形。よく見る数十のラテン名に慣れた読み手なら、石けんやボディオイルの表示にある植物由来の素材の大半を見分けられる。

Parfum とアレルゲン

成分表示の Parfum という語は、まとめの言葉である。ヨーロッパの表示法でもライブラリの用語集でも、香料のブレンドは Parfum という一語で、風味料なら Aroma で表示できる。一語の背後に、何十もの芳香素材が座っていることがある。これが、法律が調香師の処方を守るやり方だ。

例外がひとつあり、それが、多くのリストが Linalool、Limonene、Citral、Geraniol のような名前で終わる理由を説明する。接触アレルゲンに分類される香料物質の一群は、閾値を超えると個別に名前を記さなければならない。リーブオン製品では0.001%、洗い流す製品では0.01%。旧来の一覧は26物質だった。規則2023/1545がそれを拡大し、ライブラリによれば、ヨーロッパ市場に出る新しい製品は2026年7月31日から適合しなければならない。

閾値がとても低いため、精油を含む製品のほぼすべてがそれに達する。ライブラリのリナロールのページは、ラベンダー精油のリナロールを約20〜38%と記録している。ラベンダーを1%含むボディオイルは、リナロールを約0.2〜0.38%含み、0.001の線の何百倍にもなる。同じように、リモネンは柑橘の果皮の精油の大部分を占めるので、オレンジで香りづけした石けんは、ほぼ確実にその名前を記すことになる。

だから精油石けんの表示の終わりにある Linalool という語は、誰かが合成の化学物質を加えたことを意味しない。たいていは、精油がその分子を運んできたことを意味し、法律がその名前を記すよう求めているのだ。天然の精油もアレルゲンを含む。植物由来であることは、それを変えない。

表示が語らないこと

成分表示が答えるのは「何が」という問いで、「どれだけ」ではない。順序を別にすれば、表示は割合を示さない。精油が製品の0.5%なのか3%なのかを語らない。多くの精油にとって、その数字こそが製品が安全な範囲に収まるかどうかを決めるにもかかわらず。ライブラリの安全性のページは精油ごとに皮膚への上限を割合で示しているが、その数字は表示からは読みとれない。

表示は鮮度についても何も語らない。純粋なリナロールやリモネンが反応を起こすことはまれだが、ライブラリによれば、その酸化した形、ヒドロペルオキシドは、はるかに感作性が強い。同じ Limonene という語が、新しい瓶にも、2年前に開けた瓶にも載りうる。保管と保存期間は、成分表示の外にある情報だ。

そして表示は、使う人について何も語らない。アレルゲンが名前で記されるのは、自分がそれに反応すると知っている人が避けられるようにするためだ。一度も反応したことのない人にとって、その名前はただの情報である。表示の文法を読めることは、少量を肌で試すことや、アレルギーの経験があるときに皮膚科医に相談することの代わりにはならない。成分表示の終わりにある名前についての稿が、アレルゲンの一覧をより詳しく読んでいる。

成分表示は、重さで書かれた一文である。

上は素材を語り、終わりは法律を語る。

書かれずに残されたものも、表示の一部だ。