プロセス · 2026年9月

第2課 · 1枚のムエット、3日間

Lesson 2 · One Blotter, Three Days

プロセス

手のひらほどの長さの白い吸香紙が7本。上端には精油名と浸した時刻が記されている。5分後、7本すべてが香る。3日後、はっきり香るのは数本だけだ。ブレンド講座の第2課は、時間を道具に変える。1枚のムエット、いくつかの確認点、そして自分でつくる揮発表。

紙のムエット

吸香紙は精油を広い面に保ち、自由に揮発させる。だからムエット(mouillette)は調香師の標準的な道具である。素材を嗅ぎ、香りの時間的な変化を追うための紙片だ。肌の上では、香りは体温や湿り気、肌自身の脂にも左右される。紙の上ではそうした変数がほぼ消え、残るのは素材そのもののふるまいだ。

そのふるまいには名前がある。物質の蒸気圧は、どれほど揮発しやすいかを示す。蒸気圧の高い分子は先に鼻へ届き、早く消える。蒸気圧の低い分子は長く残る。素材がムエットや肌の上で感じ取れる時間は保香性(tenacity)と呼ばれ、ムエットでは通常、時間または日数で記録される。

おなじみのトップ、ハート、ベースという区分には、はっきりした起源がある。1955年、W. A. Poucher は Society of Cosmetic Chemists の学術誌に、蒸発係数による匂いの分類を発表した。調香師たちはそれを、ノートを段に分ける土台として使ってきた。この課では、その測定を机の規模で繰り返す。実験室はいらない。紙とペンと時計だけだ。

浸す、記す、計る

作業は瓶を開ける前に始まる。各ムエットの乾いたままの上端に、鉛筆で精油名と浸した時刻を書く。1本のムエットに1種の精油、1種につき1本だけ。どれも同じ深さ、約1センチまで浸し、引き上げて数秒静止させ、余分を瓶に落とす。

ムエットは互いに触れないよう離して立てる。クリップスタンドに挟むか、発泡材のブロックに挿し、直接の風が当たらない換気のよい一角に、熱と日光を避けて置く。2本が触れれば、一方の油がもう一方に染み込み、その後の記録はすべて狂う。初回は7本が妥当な数だ。段を見るには十分で、追いきれないほど多くない。

ひとつ書き留めておくべき選択がある。原液か、希釈か。ライブラリが使うデータ源は素材を原液で測定しており、20%で測ったバニラなど少数の例外があるだけだ。ライブラリの表と比べるため、この課では原液で浸す。ごく濃い精油には、エタノールで10%にしたムエットを1本追加してもよい。はっきり印をつけておく。

初回の7種は、前の課の10本から選べる。ベルガモット、ペパーミント、ラベンダー、ゼラニウム、イランイラン、フランキンセンス、パチョリ。そのうち1本をシダーウッドに替えてもよい。浸す順番は問わない。それぞれの時刻を分単位で記録しさえすればいい。

5分、1時間、1日

確認点ごとに、同じ精油の違う部分が見える。5分では最も軽い成分が紙を離れつつあり、匂いは鋭く、明るく、ときに荒い。1時間では軽い部分がはっきり落ち、多くの精油がここで本当の顔を見せる。1日では重い分子だけが残る。3日では、鼻はベースを嗅いでいる。調香でドライダウンと呼ばれる段階だ。

トップノート、ハートノート、ベースノートは、ひとつの現象の三つの名前である。揮発性の違いだ。用語集はトップノートを、最初の数分に感じられるもの、モノテルペンや軽いエステルのような速く揮発する分子が運ぶものと定義し、ベースノートを最も遅い部分、数時間から数日残るもの、多くはウッド、樹脂、モス、ムスク、バニラと定義する。ムエットを使えば、その定義を鼻で確かめられる。確認点ひとつずつ。

この課のノートは表の形をとる。行は7種の精油。列は5つの確認点、5分、1時間、4時間、1日、3日。各マスには二つを記す。0から5の強さの点数と、いくつかの描写の言葉。点数は正確でなくていい。一人の人のマスのあいだで一貫していればいい。

毎回、ムエットを同じ距離で鼻に近づけ、短く嗅いで、スタンドに戻す。ムエットのあいだに短い間を置くと、嗅覚疲労を避けやすい。0と記したマスは、その人にとってムエットがもう香らないことを意味する。その行で最初に0がついた確認点が、いちばん大事な数字だ。

ベルガモットは去り、パチョリは残る

表の両端はたいてい最も明快だ。ベルガモットは果皮を圧搾した精油で、主にリモネンと酢酸リナリル、二つの軽い分子からなる。5分では輝き、その後すぐに薄れる。ライブラリのデータ源には、通常の圧搾ベルガモット自体の時間はない。唯一の数字は8時間で、ベルガプテンを減らしたベルガモットで測ったものだ。そのためライブラリの表は、推定としてベルガモットをトップの段に置いている。

もう一方の端には、Pogostemon cablin の乾燥葉から蒸留されるパチョリがある。主成分はパチョリアルコールで、α-ブルネセン、α-グアイエンを伴う。いずれもセスキテルペンで、大きく重い。データ源はパチョリを、ムエット上で400時間以上、2週間を超えて識別できると記録しており、400時間はそのデータ源の上限値である。3日目、パチョリのムエットはまだはっきり香る。隣のベルガモットのムエットは、とうに静まっている。

シダーウッドは名前についての教訓をくれる。ライブラリの表にあるシダーウッド精油はヒマラヤスギ、Cedrus deodara で、400時間以上と記録されている。一方ヴァージニアンシダーウッドは Juniperus virginiana、ビャクシンの仲間で、α-セドレン、ツヨプセン、セドロールを含む。どちらもシダーウッドと呼ばれ、どちらもベースに属するが、2本のムエットを並べれば、それは二つの異なる木だ。

両端のあいだが、いちばん面白い部分だ。ペパーミントは約16時間と記録されている。ゼラニウムは約28時間。イランイランは約140時間。フランキンセンスは約188時間で、新鮮なテルペンの調子で開き、長い樹脂の尾を引く。これらの数字は、段と段の境界が壁ではなく、連続した帯であることを示している。

ライブラリの表と比べる

ライブラリの揮発性チャートは、Lê Mai が扱う57種の精油を三つのクラスに分け、The Good Scents Company の持続性(substantivity)の数値からムエット上の時間を記録している。時間は五つの帯に分かれる。12時間未満はごく速い、12〜48時間は速い、48〜150時間は中程度、150〜300時間は長い、300時間以上はごく長い。

自作の表をそれと比べると、いくつかの意図的なずれが見えてくる。ラベンダーは8時間と記録されているが、ハートに置かれている。クラスは時間だけでなく、ブレンドの中での役割と主成分を反映しているからだ。レモングラスは92時間と記録されているが、トップとハートの境に置かれている。イランイランとフランキンセンスは、ハートからベースにかけて置かれている。トップ、ハート、ベースという区分は単純化されたモデルであり、実際には段どうしが重なり合う。

ライブラリの表は、自らの限界も明記している。ムエット上の時間は、肌や石けん、キャンドルでの持続時間ではない。温度、希釈、ロット、鼻の感度が、どれも数字を動かす。この表は相対的な比較のためのもので、正確な予測のためではない。自作の表にも同じことが言える。

自分だけの表

3日後、ノートの表には7行5列が埋まり、どの行にも匂いが終わる点がある。その点で7行を早い順に並べ替えると、嗅いだ本人のための揮発表ができあがる。順番はたいていライブラリの表に近いが、まったく同じになることはまれだ。鼻にはそれぞれの閾値があるからだ。

ずれはデータであって、誤りではない。ライブラリの表より早く消えたムエットは、鼻のせいかもしれないし、部屋が暖かすぎたのかもしれないし、精油のロットが違ったのかもしれない。室温と各瓶のロット番号を記録しておけば、次の回を今回と比べられる。

第3課では、この表を使って比率の最初の作業をする。トップ、ハート、ベースからそれぞれ1種を選び、三つの段が1枚のムエットをどう分け合うかを見る。それが第3課 · 香りの三つの段だ。10本の瓶とノートの方法は第1課 · 10本の瓶と1冊のノートで紹介している。

印刷された表は順番を教える。

ムエットは、その順番が起きていくさまを見せる。

3日、1枚の紙片。段はひとりでに現れる。