素材との対話 · 2026年8月

乾燥タイム · 天然のスクラブ

Dried Thyme · A Natural Exfoliant

素材

乾燥タイムは料理用のハーブにとどまらない。細かく挽いた乾燥葉は、コールドプロセス石けんのなかで穏やかなスクラブになる。本稿では、チモールと葉の粒子が肌にどう働くかを記録する。

タイムはどう乾かすか

タイム(Thymus vulgaris)は地中海原産、シソ科の多年草である。ベトナムでは、冷涼な温帯気候のダラットとサパで栽培されている。

葉は開花直前、精油含有量がもっとも高まる時期に収穫する。緑色と精油の大半を保つため、日陰で7〜10日間風乾する。熱で乾かすと有効成分が飛んでしまう。

粉の細かさ · 粒子と肌

乾燥葉は石臼か、ハーブ専用のグラインダーで挽く。40メッシュのふるいに通し、約350〜400マイクロメートルの均一な粒子にそろえる。

これがスクラブとして「ちょうどよい」大きさだ。0.1mmの微粉のように細かすぎると、こする力はほとんどない。粗塩のように粗すぎると、敏感な肌を傷つけることがある。350マイクロメートルなら、深い層を傷めずに角質層の古い細胞を落とせる。

タイムの葉は多孔質なので、シャワー中に濡れると粒子がわずかにやわらかくなる。肌あたりはやわらかな摩擦で、鋭さはない。

チモール · 細菌に対する天然の作用

チモールはタイムの主要なフェノールで、精油の30〜45%を占め、乾燥葉のなかにも微細な結晶として残る。

チモールはグラム陽性菌、とくに Staphylococcus と Streptococcus に対して増殖を抑える作用を示す。研究では、S. aureus に対するチモールの MIC(最小発育阻止濃度)は 0.5〜2 mg/mL である。

洗うときにタイムパウダーが肌に触れると、チモールの一部が水と石けんに溶け出し、細菌に対する穏やかな作用をもたらす。薬の代わりにはならないが、肌を清潔に保つ助けになる。

コールドプロセスでの配合比

標準の比率はオイル総重量の2〜3%。たとえばオイル1000gに対し、乾燥タイムパウダーは20〜30gを使う。

パウダーはライトトレースの段階で石けん生地に加える。混ぜるのは30秒。それより長いとダマになり、短いと偏る。

3%を超えるとダマになりやすく、タイムの粒が目立つ。2%を下回ると、スクラブ感はほとんど感じられない。

タイムパウダーは苛性ソーダと鹸化のなかでも形を保ち、溶けない。タンパク質やでんぷんの多い植物パウダーが溶けて石けんを変色させるのとは異なる。

肌の感触

洗うとき、タイムパウダーは泡のなかに散らばり、肌を軽くこする。感触はやわらかな摩擦で、鋭くも温かくもない。

肌は触れるとより清潔に、なめらかに感じられる。スクラブの手ごたえがいちばんわかるのは、古い角質が厚くなりやすいひじ、かかと、ひざだ。

砂糖、塩、アプリコットの種といった硬い粒子のスクラブとは違い、タイムパウダーはよりやさしく、全身に毎日使える。

一枚の葉。ひとつまみの粉。ひとつのスクラブ。

乾燥タイムは、Lê Mai が石けんに使うずっと前から台所の戸棚にあった。今もハーブであることに変わりはない。ただ、ここでは役割が変わる。